常に人手不足の業界として介護業界が挙げられるのはご存知の通りだと思います。
しかし、なぜこんなにも人手不足なのに誰も応募してこないのか、そのように疑問に思っていませんか?
実は、介護の仕事に人気がないのは、業界の外から見れば当然といえます。
この記事ではなぜ介護の仕事は人気が無いのか?その原因と対策について徹底解説します。
介護業界が人気の無い原因
少子高齢化で働く世代の若者が減っているため
現在は少子高齢化の時代です。
総務省統計局が公表しているデータでは平成元年(1989年)に11.6%だった65歳以上の人口割合は平成30年(2018年)には28.1%に上りました。
75歳以上の人口割合も4.7%から11.4%に増加しています。
それに対して15歳から64歳までの働く世代の人口は69.6%から59.7%まで減少しています。
若年層に限るとおそらくもっと減っているでしょう。
介護の必要なお年寄りはどんどん増えていきますが、働く若者はどんどん減っていっています。
そこで、介護施設もどんどん増えるわけですが、働く若者はどんどん足りなくなるわけです。
さらに増えた介護施設同士が貴重な働く若者を奪い合いますので人材獲得の競争が激化しています。
その結果、1つの介護施設の現場で見ると常に人が足りないと言うことになるのです。
労働環境が悪いという風評のため
介護業界は他の業界から、著しく労働環境が悪く薄給であるとみなされています。
確かにある程度は3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれる職場で、給料も高給とは言いがたいでしょう。
しかし、現在の他業界の人たちは、介護業界に対していささか誇張されたネガティブなイメージを持っているようです。
公益財団法人介護労働安定センターの「平成29年度介護労働実態調査」によると、介護職の離職理由の第1位は人間関係だそうです。
2番目も「結婚・出産のため」という理由であり、3Kで薄給という世間のイメージからはかけ離れています。
このような実態以上のネガティブなイメージが発生した原因は、介護離職や介護うつなど家族介護に対するネガティブなイメージがそのまま投影されたものと思われます。
また、不祥事を起こした芸能人が禊のために表向き介護業界に参入したがるのも「罰を受ける場所」「地獄のような場所」のようなネガティブなイメージを生む原因になっているでしょう。
確かに大変な仕事であることは間違いないのですが、そのようなイメージは過剰すぎるでしょう。
離職者が多いため
とはいえ介護業界で離職者が多いのは事実です。
離職の原因は上に書いた通り人間関係でのトラブルがいちばん多いです。
また、2番目に多いのは結婚や出産のためという理由です。
介護職は女性が7割以上であるためどうしても結婚や出産で退職せざるを得ないという現実があるのです。
介護職はそれなりに体力がいる仕事で、時間の融通もききにくい仕事なので、育児をしながら働くのはなかなか難しいでしょう。
そして、一旦辞めてしまった介護職員は、育児が一段落するころにはブランクが空きすぎているため、介護業界には戻ってこないことがほとんどです。
介護業界の不人気さはどうすればいい?
介護業界のイメージを上げる
介護業界がきつくて汚くて危険で薄給であると言うようなネガティブなイメージを払拭していくことで、不人気さを改善することができます。
そのためには、実際に介護職員の待遇を改善していくことが重要です。
国は勤続年数を重ねている介護職員に、別途報酬を支給する制度を新設するなど、イメージアップの戦略を行っています。
ただ、これだけでは不十分でしょう。
一般的に介護職員の平均勤続年数は6年程度で10年も勤める介護士が少ないからです。
介護業界や一人ひとりの職員レベルでも待遇改善のための行動をしていくことが必要でしょう。
介護職員が自分で出来る待遇アップの方法
資格を取る
介護福祉士の資格を取ることで待遇を上げることができます。
介護職の場合、無資格者の平均給料は190,515円です。
これが初任者研修終了者だと203,232円になります。
さらに介護福祉士の資格を取ると222,566円までアップします。
無資格者とは実に月3万円以上の差があるのです。
さらにここから介護支援専門員(ケアマネージャ)の資格を取ると257,279円まで大幅アップします。
世の中には取っても収入に繋がらない資格がたくさんありますが、介護関係の資格は直接的に収入アップに繋がります。
資格を取ると収入がアップする理由は役職者に抜擢する条件に資格保有があるからだと考えられます。
ユニットリーダーやフロアリーダー、または管理者に任命される条件の1つに資格の保有があるのです。
役職に就ければ役職手当がもらえるので、そのぶん収入が増えるというわけです。
勤続年数を増やす
介護労働実態調査のデータによると介護職では勤続年数と収入の間にも相関があることで知られています。
勤続1年未満の介護職員の平均給与は214,764円ですが、これが勤続5年になると226,894円になります。
また、勤続10年では242,376円まで増えます。
ただ、増えることは増えますが増えるペースは非常に緩やかです、10年勤めても3万円しか上がりません。
ということは1年に3,000円程度しか上がらないということです。
勤続年数による給料の増加はおまけ程度に考えて、他の方法で収入を伸ばす努力をした方がいいでしょう。
待遇の良い職場に転職する
こちらはおすすめの方法です。
資格の取得と併用して行うとよいです。
より条件の良い職場に渡っていくことで給料を段階的に上げることができます。
手っ取り早く給料が増える職場としては、夜勤のある職場への転職が挙げられます。
デイサービスや訪問介護など、昼間しかない職場に勤めている人が給料を上げたい場合、夜勤のある介護施設へ転職するとすぐに給料が上がることが多いです。
なぜなら夜勤手当があるからです。
夜勤はきついと世間で言われますが、夜型の人ならばむしろ夜勤の方が向いている場合も多いです。
また、介護職員処遇改善加算を算定していない職場に勤めているならば、算定している職場へ転職すると給料アップが期待できます。
介護職員処遇改善加算とは介護業界の待遇を改善するために国が制定した制度です。
加算1〜加算5の五区分からなり、加算の数が多いほど給料が高く、職場環境の良い事業所とされています。
いわば介護事業者のランク制度のようなものであり、ランクが高いと自治体から加算がもらえるため、介護事業者は加算が増えるように努力します。
つまり、介護職員の方からすれば、加算の多い介護事業者に転職することで、待遇を改善することができるのです。
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まとめ:介護事業のイメージをアップさせて不人気を解消しよう!
この記事では介護事業はなぜ人気がないのか、その原因と対策について書きました。
介護の仕事は大変な仕事ではありますが、世間で言われているほど劣悪というわけではありません。
むしろ飲食などよりも離職率は低いことがわかっています。
根拠のないネガティブなイメージを払拭するには介護職員の待遇をアップさせ、介護の仕事の給料がどんどん上がっているという逆向きの風評を作ることが必要です。
介護職員個人ができることは、資格の取得をすることや加算の多い事業所へ転職することです。
個人のためにも業界のためにも待遇の良い事業所に勤めるようにしましょう。
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